あんこがなければマークがあるさ

mák マーク
チェコ語でけしの実、ポピーシードのこと。
なんと!チェコは食用のけし česky modrý poppy チェコブルーポピー種の合法栽培が許可された国で、生産輸出共に世界一!いろんな種類のけしの実のお菓子があります。それなのにも関わらず、わたしは最初の出会いで失敗してしまっていて…なにかのお祝いの席で、プレートに並んだキャビアのオードブルを食べたつもりが、実はそれは甘く煮詰めたマークのパイ。しょっぱいと思って食べたものが甘かったので驚いて、以後はこの黒くて甘いつぶつぶしたものののったお菓子をどうも倦厭してしまっていたのでした。

ブフティ、コラーチ、マコヴェッツ。よく見るマークのお菓子、パン屋さんにある

そんな頑なな思いを和ませてくれたのは、駐在暦の長い日本の方のこんな言葉だった「あら、あのつぶつぶしたやつでしょう?ちょっとあんこみたいで美味しいですよね」

ちょっとあんこみたい?

それは聞き捨てならない。ひょっとして自分はたいへんにお損なチェコ生活を送ってきてしまったのではないだろうか?そこで慌てて、米粉で団子をつくり、マークを擂(す)って砂糖と混ぜてふりかけて食べれば、あらやだ、美味しい。きな粉や黒ごまっぽくもあり、和菓子にも合うではないか。

一緒に食べたチェコ人の夫も気に入った様子で、「そういえば同じ食べ方で、昔おばあちゃんがよく作ってくれたデザートがある」、それはホクホクのじゃがいも団子にマークをかけたデザート Škubánky s mákem シュクバーンキイと言うそうな。聞くだに美味しそうなので、夫の子供の頃の記憶をたよりに、ネット動画先生にもお世話になって作ってみれば、意外と簡単に再現でき、「これ!これだよ!美味しいいぃぃぃ!」のお墨付きも出ておりますので、早速ですが作り方など…

マーク(中央)は通常擂って使う。擂ったものも売っているけど、擂りたての方が断然香りが良い。最初はすり鉢でやっていたが、頻繁に食べるようになったのでブレンダーを買いました

二人分の作り方 量は全て勘で
① じゃがいも大きめを二つ、皮をむき、切って小鍋で煮ます。
② 火が通ったら、フタで押さえ、お湯を三割位残して捨て、
③ そこに小麦粉(チェコならhladká)を全体を覆う程度にふりかけ、
④ お箸や木べらの柄の部分を使って、粉を、じゃがいもの間から、残ったお湯にも触るように落とし込みます。そして
⑤ 再び蓋をして弱火でコトコトと、小麦粉に透明感が出てくるまで、大体20分位。

その間にマークを擂り、粉砂糖と混ぜ、お好みで溶かしバターを準備し、テーブルにお皿、ナイフとフォーク、鍋敷きを並べ。全員席についておきましょう←これ大事。準備が整ったら

⑥ お鍋の中でじゃがいもを潰し、鍋のままテーブルの鍋敷に置き、二つのスプーンの先を上手に使って、じゃがいもをレモンの形にまとめてはそれぞれのお皿にのせます。もちろん冷めないように手早く、チェコの babička バビチカ おばあちゃんになった気分で優雅に。(二つのスプーンで生地をレモン型にまとめている動画もブログにアップしておきました→よかったら見てネ)

あとは、各々がお好みでマーク砂糖、溶かしバターをかけて Dobrou chuť !  ドブロウフッチュ 「いただきます」

実は正直に言うと、最初は味がシンプル過ぎて、好きか嫌いかよくわからなかったけど、しばらくするとじんわりとまた食べたくなって、いつの間にかお気に入りのおやつになりました。その後はマーク祭りが発動し、シナモンロールのシナモン代わりに巻いて焼いたり、お団子にお宝のよもぎ粉を入れてそれにかけたり、それからひろちゃんさんのパイのレシピでマークパイを作ったり…と、このなんともホッとする、本当に日本でいったらちょっとあんこみたいな存在のマークの虜になりました。(写真とイラストも発行人ゆみこ)

ゆみこ
只今マークあんぱんを画策中

Ahoj!から知ってると美味しいものに出会えるチェコ語
mák マーク けしの実。 挽いたものは mletý で、挽肉、コーヒー、香辛料などもこの単語を使う。キャビアのオードブルと勘違いして食べたのは svatební koláčky 結婚式用の小さなパイ。小さいければ小さい程喜ばれるという。こんな単語が毎日一個流れてくるAhoj!のTwitterはこちら。マークを使ったお菓子のチェコ語をおまけのカレンダーにも書きました。

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