ポメロを知っていた?

ポメロを知っていた?

席表の代わりにオーナメント

義妹の夫ユリは素晴らしくいろいろできる人で、朝から裏の森で見事な枝振りのもみの木を切って来て、子供達に飾り方を指導し、その部屋から子供たちを早々に退散させ封印した。夕ご飯が終わるまで、

この部屋に入ってはダメだよ

中央で光っているのがイエジーシェック

ダイニングではマミンカ(チェコ語でおかあさん)が、白に金の刺繍があるクロスの上に今日のための特別なお皿やグラスを並べ、周りを花やキャンドルで飾って準備万端。席札代わりにクリスマス飾りが置いてある。わたしのは赤いベルだ。みんな揃って乾杯。必ずお互いの目を見るように。信頼の証だ。

最初は、これもユリが釣ってきて、泥掃き、捌くまでした鯉のスープやフライが出てくる。うまい。毎年とっても楽しみにしているのだ。もちろんマミンカのジャガイモのサラダも最高。

ふたりの子供達はサンタクロース、チェコならイエジーシェックの存在を信じているので、こんなことまで器用なユリがトイレに行ったふりをしつつ隠し持った鈴を鳴らすと、子供達は叫び声をあげてツリーのある部屋に走って行く。

例えプレゼントの内訳を知っていても大人も興奮する瞬間

美しく飾られたもみの木の下には、イエジーシェックからのプレゼントが山のように積み上げられている。これがチェコのヴァーノツエのクライマックスだ。プレゼントは各自が全員分を準備する仕組みなので、八人居れば単純に計算しても五十六個の包みが積まれている事になるのだから、全ての筋書きを知っているおとなだって興奮する。暖炉の周りでそれぞれ貰ったものを開け、子供達に気取られない様にお互いに感謝して、話をしたり、音楽を聞いたりして過ごす。

バターを塗って食べても美味しい

遅く起きてキッチンに行けば、マミンカはもうお茶の準備をして待っていてくれた。焼いて持って行ったクリスマスの特別パン、ヴァーノチカを切って、バターをつけたい人は?チーズは?ヨーグルトもあるのよと好みを聞いてそれぞれに並べてくれる。みんなが美味しい、美味しいと止まらない様子でヴァーノチカに手を伸ばしてくれるのがとても嬉しい。

テーブルを囲んで一年分のおしゃべりをして、もうそろそろ帰りの電車の時間を見ようかという頃に、マミンカがなにやら、人の頭位もありそうな大きなミカンを出してきた。誰も食べたことがないと言うと、

ポメロ、美味しいのよ

剥いて楽しい、食べて美味しいポメロ

分厚い皮を剥いて中から身を出して、皮や、筋などをきれいにとって渡してくれた。

ううううまい

味も形もグレープフルーツにかなり似ているけど、更に大きく、すごくよいことは房がしっかりしてプリンと果実だけが取り外せ、剥く時に汁まみれにならないのだ。 ポメロ!なんで今まで食べてみなかったんだろう。程よい酸味でいい香り。

すっかり幸せになってプラハに戻った。

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